劣化対策等級とは?新築住宅を建てる前に知っておきたいポイント
家を建てて何年もたつと、シロアリや湿気による腐食、鉄筋のサビなどが発生することがあります。
柱や土台に影響がでると、大掛かりな修繕が必要になることも。
なるべく湿気にもシロアリにも強い家を建てたいところですが、どのメーカーも「うちの住宅は防蟻も防湿もしっかりしてます!」と言うだけでなかなか私たちには判断がつきません。
「劣化しにくい家かどうか」を客観的に見られる指標が「劣化対策等級」です。
今回はこの等級の基準や評価方法、メリットなどを見ていきましょう。
劣化対策等級とは?
劣化対策等級とは、品確法に基づき2000年につくられた「住宅性能表示制度」によってスタートした等級制度です。
建物は長年使っていくうちに、湿気やシロアリなどで劣化していきます。木材が腐食したり、金属が錆びたりすると、修繕や建て替えが必要です。
劣化対策等級では、そういった材料の劣化を軽減するため、どのくらい対策されているかが分かります。
等級は1〜3までの数字で示されており、等級3が最高ランクです。
住宅性能表示制度では、劣化対策のほかにも、耐震・維持管理・断熱性能などにも等級が設けられており、第三者機関による評価を受けて「住宅性能評価書」が交付されます。
劣化対策等級は1〜3まである
劣化対策等級は、大規模な改修が必要になるまでの期間をもとに、1~3の3段階に分けられています。
劣化対策等級3:75〜90年
通常想定される自然条件及び維持管理条件の下で3世代まで伸長するため必要な対策が講じられている
劣化対策等級2:50〜60年
通常想定される自然条件及び維持管理条件の下で2世代まで伸長するため必要な対策が講じられている
劣化対策等級1
建築基準法の規定を満たしている
※1世代=25〜30年
新築住宅での劣化対策等級の基準
劣化対策等級で評価される項目は、建物の構造(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造)によって変わります。
木造
・腐朽菌による腐食
・シロアリの食害による劣化
鉄骨造
・水や大気中の汚染物質が原因の錆による劣化
鉄筋コンクリート造
・アルカリ性だったコンクリートが中性化→内部の鉄の錆びによる劣化
・寒冷地での凍害による劣化
劣化対策等級を取得するメリット
劣化対策等級をふくめ、住宅性能評価書を取得するにはある程度の費用がかかります。
その費用を超えるメリットが得られるか、判断する必要があるでしょう。
メンテナンス費用の軽減
もし柱や土台など構造上重要な部分が腐食すると百万円単位の修繕、建て替えが必要になれば数千万円単位の大きな出費となります。
劣化対策等級を取得するには申請費用などかかりますが、大規模な修繕・建て替えのリスクが軽減できるのは大きいメリットでしょう。
劣化対策についてなかなか素人が判断するのは難しいので、ハウスメーカーや工務店を信じるしかない…という状況になりますが、等級を取得すれば第三者機関が客観的に判断してくれるので安心です。
長期優良住宅の認定基準の一つ
劣化対策等級は長期優良住宅の認定基準の一つで、等級3が必要です。
長期優良住宅として認められると、住宅ローン控除の期間延長や税金面での優遇措置を受けられます。
《長期優良住宅の優遇》
・住宅ローン控除10年間→13年間に
・固定資産税や登録免許税、不動産取得税などの優遇
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将来的な売却時に有利
住宅性能評価書で各種等級を取得しておけば、誰が見ても住宅の性能がひと目でわかります。
もし将来的に家を売却しようと思ったときに、評価のない家よりも高値で売れたり、買い手が見つかりやすくなったりする可能性が高まるでしょう。
まとめ
劣化対策等級の取得をめざしてつくられた住宅は、長期間使っても劣化しにくく、修繕の費用や手間が抑えられます。安心して家を建てられるだけでなく、売却時にも有利です。
しかし必ず取得すべきものではなく、申請費用もかかります。
メリットとデメリットの双方を理解した上で、住宅会社の担当者とよく相談して「どの程度の性能をもった住宅を建てるのか」決めるべきでしょう。