気に入った土地に新築住宅を建てたいですよね。人や車の出入りなど利便性を気にしがちですが、道路によっては建築の可否が左右されるケースも。今回は土地購入の前に知っておきたい、道路のルールについて解説します。

建築基準法の接道義務とは？

まず絶対に知っておくべきルールの一つが、建築法による接道義務です。

幅員4m以上の道路に2m以上接する

住宅を建築する際には、大原則として幅員4m以上の道路に住宅の敷地が2m以上接していなければなりません。このルールは、災害時の避難に間に合わない、救急車・消防車が入りにくいなどのトラブルを回避するために設けられています。

幅員4m未満ならセットバックが必要

もし土地に接している道路が幅4m未満で接道義務を満たしていない場合、「セットバック」で対応します。これは建物を前面道路から後退させて建築するということです。

道路の中央から敷地に向かって2ｍ後退（セットバック）した位置が、道路と敷地の境界線とみなされます。2m後退した境界線までの部分は敷地面積には含まれません。そのため建ぺい率や容積率も小さくなり、建てられる住宅の大きさも変わってしまいます。

また以下の通り建築不可になることもあるので、注意が必要です。

・道路に全く接していない、もしくは間口が2ｍ未満の不整地の敷地
・間口が2m未満の旗竿状の敷地

前面道路の幅員と暮らしやすさ

敷地に接する前面道路の幅によって暮らしやすさは変化します。それぞれメリット・デメリットをお伝えします。

4m幅道路

昔からある分譲地や市街地に多いのが4m幅道路です。

メリット
・安い土地が多い
・交通量が少ないので子どもの通学も安心
・大型車は通行できないので騒音や振動に悩まされない

デメリット
・運転が苦手だと車庫入れや駐車で苦労しがち
・一時的な路上駐車や車どうしのすれ違い不可
・道路の向かい側の住宅との距離が近く日陰になることも

4m幅道路は車1台分が通れる幅で騒音や振動に悩まされる心配はありませんが、運転が苦手な家族にとってはストレスの原因になるでしょう。ただ比較的土地の値段が安いので新築住宅の総額を抑えられます。

6m幅道路

区画整理が施されたエリアや大規模住宅に多いのが6m幅道路です。

メリット
・相対的に日当たり風通しが良い
・車のすれ違いが可能で大きな車も駐車しやすい

デメリット
・交通量が多くなるので騒音が気になる
・迷惑な路上駐車が増える
・土地の価格が比較的高い

6m幅道路は車のすれ違いも可能です。好きな車に乗れるし友だちも遊びに来やすいですが、土地の値段は高くなりがちで騒音が気になる人もいるでしょう。

8m幅道路

一般的な主要道路として使われるのが8m幅道路です。

メリット
・日当たりや通風の良い場所が多い
・前面道路だと圧迫感がなく開放的

デメリット
・路上駐車が多い
・人が通行しやすいので、人目が気になることも
・土地の価格が比較的高い

8m幅道路は車が余裕ですれ違えるほど広いです。子どもと手をつないで歩いても安心な広さは魅力的ですよね。
ただ主要道路として使われることが多いので、騒音や振動、排気ガスで悩まされる人もいるでしょう。

前面道路の方角も意識しよう

前面道路が敷地に与える影響は思ったより大きいですね。新築住宅の土地探しでは、前面道路が敷地から見てどの方角にあるのかも重要です。それぞれの方角のメリットやデメリットをお伝えします。

南道路

メリット
・一般的に日当たりや通風が良好
・冬でも日差しが暖かく、洗濯物が乾きやすい
・売却する場合は相対的に有利な方角

デメリット
・建物が前面道路に近い場合、道路側に庭や洗濯干し場を設けるとプライバシーが気になる
・リビングを道路側に配置すると人目が気になるので、常にカーテンで目隠しする必要がある
・土地の価格が比較的高い

日当たりも風通しも良いので、快適な住環境を送れそうですね。ただ玄関や庭の配置には注意が必要で、外構に工夫をすると良いでしょう。

東道路

メリット
・朝日が差し込み午前中は特に明るい
・南道路に比べて土地の価格が安い

デメリット
・朝から日差しが強く、夏場は暑い
・午後からは日が入りにくい

朝から日差しが暖かく、洗濯物が乾きやすいです。
夜型のライフスタイルだと朝日が差し込み睡眠の妨げになるので、間取りに工夫が必要です。

西道路

メリット
・東道路よりも日照時間が長い
・南道路に比べて土地の価格が安い

デメリット
・夏場は西日の影響を強く受け、夕方でも暑い
・朝は日が入りにくい

1日を通して東道路より日当たりが良いので布団も干せるのは嬉しいですね。ただ夕方は西日が眩しく、夏場は長い時間暑さを感じるでしょう。玄関を西側に配置した場合、西日で部屋全体が暑かったり、玄関の劣化が早まることも。玄関にすだれや庇（ひさし）を設置すると軽減できるでしょう。

北道路

メリット
・他の方角に比べて土地価格が安い傾向
・南側にリビングを広く取れる
・プライバシーを確保しやすい

デメリット
・日当たりが厳しく、冬は寒い
・湿気やカビの対策が必要
・光熱費がかさむ

夏場は涼しく快適に過ごせます。しかし梅雨時は湿気やカビ、冬場は光熱費が原因で悩む人も。
ただ間取りや外構の工夫で軽減できるし、南側に人目を気にせずに過ごせるリビングを設けられるのは魅力的ですね。

まとめ

新築住宅の購入では、利便性だけでなく前面道路も考慮する必要があります。接道義務を知り、道路の幅や方角のメリット・デメリットも理解すれば、理想の家づくりに近づけるでしょう。